お酒ができるまで
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【1】鈴鹿山脈の伏流水を使用した米洗い
精米されたお米を鈴鹿山系の伏流水で手洗いを行います。
精米歩合(米を磨く)が上がる(より細かくする)と吸水時間が早くなり、
米の水分量が変わってきます。
もちろん気温や米の温度、水温度などにも影響を致します。
当蔵では手洗いを行い、常に水分量を目標に近い形で洗い上げ、
翌日の蒸しの準備に備えます。 -
【2】甑(こしき)に入れて一気に蒸し上げる
蒸しは甑(こしき)と呼ばれる大きな桶のような入れものに、
当日の仕込みの量の洗米(前日に洗米)を入れ、一気に蒸し上げます。
(食べる米は炊き上げますが、お酒の仕込みでは蒸し上げになります) -
【3】48時間以上をかけて米から麹へ
蒸し上がったお米を少し冷まし、麹室(こうじむろ・こうじしつ)35度の部屋に引き込みます。ここからは時間と温度との戦いとなります。
蒸米に麹菌を繁殖しやすいように丁寧にふっていきます。ここで作業をゆっくりしていると米が乾燥して菌が繁殖しなくなりますが、丁寧に様子を見ながら麹菌をふっていきます。そして温度の経過を見ながら手入れを繰り返し、米から麹に48時間以上(造る酒質によって50時間を超えるものもあります)をかけて麹を造っていくのです。
当蔵では2人1組で行う「箱麹」を普通酒から大吟醸まで全量行っております。 -
【4】3回に分けて行う3段仕込み
もとが出来上がり、もと桶から仕込み桶にお酒を移動し、そこに蒸米、麹、水を加えて仕込みをしていきます。ここでも残りの米を全て1回で入れますと発酵が止まりますので、もとを入れて残りの分を3回に分けて入れていきます(3段仕込)。
当蔵では、普通酒、しぼりたて生原酒、活性にごり酒は、4段仕込(4回に分けて仕込む)を行います。
先代の蔵人さん達は、「酒造りの唄」を歌い、時間と櫂を入れる一定した動作などのタイミングを図りながら仕込みをされておりました。 -
【5】手造りで行う、昔ながらの木艚袋搾り
お酒の発酵が進むといよいよ搾りになります。
当蔵では、1枚ずつ袋に入れて搾る「木艚袋搾り(きぶねふくろしぼり)」を行っております。これは、先代の能登杜氏の畳伸一氏が、「大変な作業だが、お酒に優しい搾り機なので残すべきである」と現杜氏、園田睦雄杜氏が伝承し今尚使い続けております。
2日間3回の袋の移動が必要で効率は悪い、重労働な反面、お酒に優しく搾りすぎないため、お酒の品質の良さはもちろん、酒粕も多くのお酒を含んでおります。